研究概要 |
・応用検討 光学活性基を有するポリチオフェンーフルオレン共重合体poly{9, 9'-dihexylfluorene-alt-(3-[2-((S)-(+)-1-methyloctyloxy)ethyl]thiophene)}(PHF-alt-MOET)を合成し、その超階層性と物性の検討を行った。良・貧混合溶媒中で、PHF-alt-MOETは会合性を示し、超階層構造に由来する負のコットン効果を示した。この現象は、チオフェンユニットの長さに依存し、無置換のチオフェン環を一つ導入したpoly{9, 9'-dihexylfluorene-alt-(3-[2-((S)-(+)-1-methyloctyloxy)ethyl]-2, 2' hithiophene)}(PHF-alt-MOET-T)では正のコットン効果が観察され、主鎖のらせん構造がこの階層性を決定していることがわかった。 PHF-alt-MOET膜は液晶性を示し、熱処理により分子の配向性が変化することが観察された。一方、PHF-alt-MOETT膜では同様の挙動は観察されず、主鎖の剛直性と有効共役長が長いことがわかった。PHF-alt-MOETの溶液系における円二色性発光の測定では、発光極大が484nm付近に観察され、通常のPLスペクトルの発光極大(460nm)に近い値を示した。さらに、100nmのPHF-alt-MOETスピンコート膜を220℃、1分間熱処理し、そのCPL測定を行った。熱処理後は、CPLスペクトル強度、g因子ともに急激に増大し、特にg因子は-0.31にまで達した。この値から右円偏光と左円偏光の比を算出すると約1 : 0.732であり、約30%右円偏光優位の発光になっていることがわかった。
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