研究課題/領域番号 |
17067018
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
阿部 修治 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 副研究部門長 (30356373)
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研究分担者 |
下位 幸弘 独立行政法人 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (70357226)
片桐 秀樹 独立行政法人 産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 主任研究員 (60344206)
関 和彦 独立行政法人 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (60344115)
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キーワード | 共役分子 / 有機結晶 / 光物性 / 励起状態 / 構造緩和 / 単一光子 / 密度汎関数法 / 理論 |
研究概要 |
1、電子供与性と電子受容性の官能基を組み合わせた共役分子について密度汎関数法を用いて研究し、分子内回転や官能基置換による光物性への影響を理論的に明らかにした。アントラセンとイミダゾールを組み合わせた新規共役分子について、基底状態での平面構造から陽イオン状態ではほぼ直交した構造に変化することが実験的に示されている。この原因を密度汎関数法を用いて分析し、対イオンとの静電相互作用が主に寄与しているごとを明らかにした。2つのポーラロンが分子間で結合するπダイマー状態について、TTF分子を例にとって結合クラスター法を用いて研究し、その不安定性を示唆する結果を得た。 2、複数の色素を含んだデンドリマー、有機結晶や、複数の励起サイトを持った共役高分子を用いて、単一光子発生の実験が行われている。こうした系は効率良く光子を吸収し、単一光子を発生することができると期待されている。単一光子が生成していると光子相関はゼロとなる。そのため、単一光子の生成効率は光子相関の測定により行われてきた。しかし、理論的に検討した結果、パルスにより多数の励起子が生成する場合には、光子相関の計測は単一光子生成の指標ではなく、光子分布の鋭さを表す指標となっていることが分かった。 3、アントラセンの誘導体であるアントラセンジスルホン酸を用いた有機塩結晶において、結晶の構成要素を変えることにより、アントラセンの一次元的積層の配向の違いが生じ、それによって蛍光スペクトルが変化することが実験で見出されている。この系の励起状態における構造緩和の詳細を、量子力学と古典力学を組み合わせたQM/MM法を用いて理論的に研究した。結晶構造は有限サイズのクラスターでモデル化し、3種類の結晶構造について励起状態の最適化構造を求めた結果、いずれの場合もエキシマー的な2分子緩和状態よりも1分子緩和状態が安定であることが分かった。
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