研究概要 |
MEMS技術では,アクチュエータや立体構造が形成できるので,可変の光通信デバイスや機能の高い光学部品を実現するために有効である.本研究ではMEMS技術とシリコンナノ加工技術を組み合わせ,広帯域の可変格子フィルタや光スイッチを研究した.光通信の自由空間クロスコネクトやADD/DROPに必要なマイクロミラーの高機能化の研究を進めた.マイクロミラーに組込むことができる微小角度センサとしてピエゾ抵抗ひずみセンサを提案し,光路切り替えに閉ループ制御を行う信頼性の高い方式を提案した.シリコンピエゾ抵抗ひずみセンサにおける漏れ電流による感度の低下を改善するため,保護層を導入した改善プロセスを実現した.角度センサのノイズ特性を改善することができた.MEMSとマイクロ光学素子やフォトニック構造を組み合わせることで,機能性の高い光通信デバイスを実現できると考えられる.これまでに共鳴格子の周期をマイクロアクチュエータにより変える方式を提案し,試作した.またシリコン系材料(Si,SiO2,Si3N4など)において周期可変の自立格子の光学応答を理論的に詳細に調べ,フィルタの応答特性を明らかにした.また共鳴格子と基板の距離をマイクロアクチュエータにより変えることで共鳴状態を制御し,選択した波長における出力(反射光)を可変にできるフィルタを設計及び解析し,試作した.厚さ260nmの自立した2次元周期の回折格子を4本の熱型マイクロアクチュエータにより支持した構造である.波長1.5μmにおいて,83%の反射率を得た.また,基板に自立回折格子を近づけることで,反射光を制御できることを確認した.加工装置として水素アニール装置を試作した.シリコン細線を利用したクロスコネクトとして,可動導波路とマイクロアクチュエータを組み合わせた極微小の光スイッチを提案し,理論解析を進め試作した.
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