研究概要 |
面発光半導体レーザ(VCSEL)の発振偏光の双安定性によるメモリ機能とAND/ORゲート機能を用いた全光型信号処理を研究している。1つのVCSELに光信号を1ビットずつVCSELの発振偏光として記録し、必要なタイミングにあわせ時系列信号として記録信号を読み出すことができる光バッファメモリについて検討した。具体的内容は、 (1)10 Gbit/sRZ信号に相当する、パルス幅50ps,パルス間隔100psの4ビット光信号列の中から、1ビット選択して記録し、再生するメモリ動作を0.98μm帯で実現した。光注入の波長とVCSELの発振波長の間の離調を大きく(〜20GHz)することにより、スイッテングに必要な入力はやや大きくなるが、高速動作が可能になった。データパルスおよびセットパルスは150μWおよび180μW、VCSEL出力が約1mWであり、本光バッファメモリの特徴である光利得を持った動作が得られている。 (2)偏光双安定VCS肌を用いて多重分離や、フォーマット変換、信号再生、光バッファメモリ等の全光型信号処理について研究を行ってきた。又、光バッファメモリに関し、偏光双安定VCSELを2個用いた2ビットの光バッファメモリ動作、および1つのVCSELに記録した信号を別のVCSELに転送するシフトレジスタ機能を実験的に実証した。しかし、これらの研究はVCSELの作製が容易な0.98μm帯で行づだ。光通信に適しだ1.5 5,μm帯において、今回、正方形メサ構造を有するVCSELを試作し偏光双安定特性を得、その偏光双安定VCSELにより全光型のフリップ・フロップ動作を世界で初めて実現した。
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