研究概要 |
シンボルレートを維持したまま, ビットレートを上げることができる多値光変復調方式は, 将来の光通信システムを大容量化する有力な手段である。多値変復調方式を本格的に導入する場合には, 直接検波にかわるヘテロダイン/ホモダイン検波の利用を検討する必要がある。 この目的のために, 我々のグループはホモダイン位相・偏波ダイバーシティー技術とデジタル信号処理を用いたコヒーレント光受信器を提案している。この受信器は, ホモダイン検波によって得られた2偏光に対する信号光複素振幅のsinおよびcos成分から, デジタル信号処理により変調成分を抽出するものである。この受信器を用いれば, 任意の偏波に対するIQ変調に対応が可能である。 本年度はこの受信器を用いて, 16相直交振幅変調(QAM)信号の伝送実験を行った。シンボルレートは10Gsymbol/sである。送信用レーザおよび局発用レーザは半導体DFBレーザであり, 線幅は約150kHzである。コヒーレント受信器では, サンプルレート20Gsamplel/sでAD変換を行ったのち, クロック抽出, 信号等化, キャリア位相推定などのデジタル信号処理を行っている。これらの技術を集結して, 40Gbit/s16QAM信号を標準単一モードファイバ200kmにわたって無中継伝送することに成功した。さらに多中継のシステムでは, 1,000km伝送の可能性を示した。
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