研究概要 |
本研究では,光を空気あるいは真空に閉じこめた可変中空光導波路を実現し,10%を超える巨大な可変伝搬特性を具現化するとともに,巨大な波長可変特性を可能とする光フィルタ/レーザ,光ルーティング素子,光スイッチ,光遅延線など,新世代の光通信ネットワークデバイスの実現を目指して研究を進めた. テーパー構造中空光導波路におけるカットオフ条件近傍での垂直光放射の現象と巨大可変特性を利用した波長可変レーザへの応用について検討した.カットオフ近傍では,フォトニック結晶で観測される構造分散の増大とそれに伴う光の群速度低下が生じる.このため,このカットオフ近傍では,光が垂直方向に放射されることが計算と実験により見出された.この現象は,超小型の光合分波器や面型光素子との集積化を可能する. 可変中空光導波路の巨大伝搬定数変化を利用した波長可変レーザを提案し,その連続波長可変特性の検討をした.一つの制御パラメータで,ブラッグ波長を可変すると同時に位相を調整して波長の連続可変を可能になり,35nm以上の連続波長可変動作が期待できることを示した. 初期的検討として,GaInAsP/InPのSOAチップと中空光導波路Bragg反射鏡とをハイブリッド集積して,波長可変レーザを試作した.波長シフト量は,11nmであり,共振器で決定するモードで発振している.また,巨大可変特性と温度無依存特性の両立が,中空光導波路素子の特徴である.試作した素子の波長温度依存性を測定したところ,縦モード間のモード跳躍は観測されるものの,30度以上の温度範囲にわたって,縦モード間隔である波長範囲0.6nmに,発振波長がロックされていることがわかった.
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