研究概要 |
本研究では, 光を空気あるいは真空に閉じこめた可変中空光導波路を実現し, 巨大な可変伝搬特性を具現化するとともに, 巨大な波長可変特性を可能とする光フィルタ/レーザ, 光ルーティング素子, 光スイッチ, 光遅延線などの光デバイスの実現を目指して研究を進め, 以下の成果を得た. (1)3次元中空光導波路の偏光特性制御 3次元中空光導波路の偏光依存性を検討し, ステップ構造の深さ制御により, 偏光依存性を拡大できることを見出し, 実際に製作してスラブ型中空導波路に比べて2倍以上の大きな値を得た. (2)テーパ型中空光導波路を用いた偏波分散補償器の提案と実証 大きな偏光依存性を有する3次元中空光導波路を用いて表面回折格子とテーパ構造を導入することで, 可変の偏波分散補償機能を実現できることを提案し, 実際に試作して長さ3mm程度の微小回路で, 約10psecの偏波分散を実現した. (3)サブ波長高屈折率差回折格子を用いた新しい3次元中空光導波路の提案と製作 広帯域・高反射率を可能とするサブ波長高屈折率差回折格子を反射鏡とする新しい3次元中光導波路を提案し, 小さな偏光依存性と, 部分パターン化による簡易な2次元光閉じ込め機能が実現できることをモデリングにより示すとともに, 実際に電子ビーム露光とドライエッチングによりSiサブ波長高屈折率差回折格子を製作して3次元中空導波路を製作し, 2次元光閉じ込め, 4dB/cm程度の伝搬素損失, 小さな偏光依存性を実証した. 本研究により, 10%以上の巨大な可変伝搬特性を実現するとともに, 光フィルタ/レーザ, 光ルーティング素子, 光スイッチ, 分散補償回路, 偏波分散機能などの様々な可変光デバイス. 回路の可能性を示した.
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