研究課題
近年のインターネットの急激な成長に伴うデータの急増に対応し、電子回路の処理負荷と消費電力増大を解決する光パケットルーティング技術の実現を目標として、超高速動作が可能な全光信号処理によるラベル処理技術と光バッファリング回路の制御手法・光スイッチ技術の確立、それらを導入した全光パケットスイッチの創成を目指している。平成17年度は、半導体光増幅器をマッハツェンダー干渉計に配置した対称マッハツェンダー型全光スイッチを用いてラベル・ペイロード分離処理、各ビットを分離するシリアル・パラレル変換器、ラベル識別回路に応用する手法を提案し、10Gbpsにおいて基本動作の実証を行った。ラベル・ペイロード分離はラベルの時間幅の制御信号光と、1ビット時間内に高速にスイッチをOFFにするための1ビットリセット制御光の非対称制御光を用いる手法を用い、全光スイッチのクロス・バーポートの2出力から1ビット時間内で分離後のペイロード、ラベルを得ることができることを実証した。シリアル・パラレル変換としては初期的実験として2ビットラベルを用い、1段の全光スイッチを用いて1ビット目・2ビット目を分離可能であることを示した。更に、ラベル識別回路としては多段スイッチ構成の各段のスイッチにシリアル・パラレル変換後の各ビット信号を入力することにより、ラベル識別バルスを空間的にスイッチする出力位置がラベルのビット系列に対して1対1に対応することを利用し、2ビットラベルに対してラベルの違いを実験的に認識することができた。以上の成果は国際会議1件、国内学会3件、光パケットスイッチ関連論文として1件発表を行っている。今後は40Gbpsの高速動作実証に向け検討を進める予定である。一方、光バッファ回路としては波長変換器をファイバループ中に導入し、高速に任意の波長に変換する構成によって少ない波長数で遅延制御性を向上する構成について実験的に検証し、半導体光増幅器の相互利得変調器3段を用いる構成において4通りの遅延を実現し、それぞれの条件においてビット誤り率10^<-9>以下を実現した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
IEEE Photonics Technology Letters Vol.18,No.5
ページ: 694-696