研究概要 |
本研究チームは、有機半導体単結晶を用いて作製したトランジスタを用い、有機半導体/金属電極、有機半導体/絶縁体界面の制御によって、有機トランジスタにおける電気伝導機構の解明と機能向上を目指した研究を展開している。岩佐ら東北大グループは、昨年度成功した有機単結晶トランジスタの両極性動作を発展させ、ソース・ドレイン電極に異種金属を用いる単結晶FETを実現したのち[J.Takeya et al., Appl.Phys.Lett. 90,013507(2007)]、テトラセン単結晶を用いて、電子も正孔もともにチャネルに注入されて再結合する発光トランジスタの実現に成功した[T.Takenobu et al., Adv.Func.Mater. in press]。これは、有機単結晶ではじめての発光トランジスタである。 竹谷ら阪大グループは、ルブレン単結晶と自己組織化シラン単分子膜の間に高品質のナノ界面を作製することによりトランジスタを構成し、世界最高の移動度を実現した[J.Takeya et al., Appl.Phys.Lett. 90,102120(2007)]。また、界面トラップ準位密度を極小化した高品質有機半導体/絶縁膜界面界面において、有機単結晶内部の伝導チャンネルが有効に利用されることによって素子のキャリア移動度が最大になるメカニズムを示し、ナノ界面の特性制御が有機デバイスの性能を最大化する直接的な戦略になることを明らかにした[J.Takeya et al., Phys.Rev.Lett., in press]。さらに、同様の手法を領域内合成班によって新規に得られた縮環オリゴチオフェン分子に適用し、本化合物が大気中での安定性と高キャリア移動度を両立する優れた材料であることを示した[K.Yamada et al., Appl.Phys.Lett. 90,072102(2007)]。
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