研究課題/領域番号 |
17069003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩佐 義宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20184864)
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研究分担者 |
竹延 大志 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (70343035)
下谷 秀和 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60418613)
笠原 裕一 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10511941)
竹谷 純一 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (20371289)
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キーワード | 有機ゲート絶縁膜 / 両極性トランジスタ / 自己組織化単分子膜 / 発光トランジスタ / 有機トランジスタ / 有機半導体単結晶 / ナノ界面 / キャリア移動度 |
研究概要 |
岩佐は、有機FETにおける半導体一絶縁体界面、および半導体金属界面の制御によって、ゲート電圧のみによって電子正孔ともにチャネルに注入できる両極性トランジスタを実現し、それを応用して、発光トランジスタを作製した。有機半導体として単結晶を用いるため、その電流密度が極めて高くなり、電流注入有機半導体レーザーに必要とされる電流密度に迫る値を有することを明らかにした。引き続き、BP3Tと略称される有機半導体単結晶を用いて発光トランジスタを作製し、単結晶デバイスが、それ自身で光を閉じ込めうる自然の導波構造を有している事な実証し、有機単結晶が、電流励起有機半導体レーザーの実現に有力な手法であることを示した。 一方、竹谷は有機半導体単結晶と誘電層とのナノ界面や有機単結晶/イオン性液体の固液界面に電気二重層を形成することによって誘起される電子伝導層のキャリア輸送特性を調べた。電子親和性の強いTCNQ単結晶を用いた電界効果トランジスタでは、空気中で極めて安定な電子注入が実現し、この結果から、通常の多結晶薄膜トランジスタでは困難であった大寒中n型トランジスタを得るための有機分子の還元エネルギーを明らかにした。また、n型単結晶トランジスタをイオン性液体との固液界面においても作製し、n型有機トランジスタのなかで最高の電流増幅性能を得た。また、極薄絶縁膜や電気二重層に加える電界を最大にすることによって、電子相関の効果による電子伝導度の異常なゲート電圧依存性を見出し、今後の低温物性研究において新しい電子層を実現するための端緒を得た。
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