研究課題/領域番号 |
17069004
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大塚 洋一 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (50126009)
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研究分担者 |
神田 晶申 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (30281637)
塚越 一仁 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (50322665)
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キーワード | ナノ電極 / 単分子計測 / 微細加工 / 量子伝導 / メカニカルブレークジャンクション / グラフェン / ナノ炭素材料 / ジョセフソン接合 |
研究概要 |
MBJ法を用いた単分子伝導と炭素系ナノ材料の伝導の両面で研究を進めた。MBJ法では、ニオブ及び鉛を電極材料とし、最も単純な水素分子をこれにはさんだ系にっいて実験を行った。多くの金属の水素接合系のコンダクタンスヒストグラムは1×G_o近傍に明確なピークを持ち、弾道的伝導チャンネルの存在が示唆されている。低温での測定の結果、Nb-水素系は弱いピーク構造を持つが、鉛では水素導入によるヒストグラムの変化は確認できなかった。さらに、多数の接合について電流・電圧特性を調べ、これを多重アンドレーエフ反射の理論によって解析した結果、同理論によっておおむね説明できることを確認し、接合の透過チャネル数と各透過率を決定した。予備的な解析では、Nb系では水素の導入によって最大チャネルの透過率が増大する傾向が見られるが、Pbでは変化はほとんど無い。また、超伝導ギャップの減少など検討すべき現象を観測している。なお、非弾性伝導による分子振動スペクトルの測定についても、金-水素系についてこれを確認した。 ナノリンク伝導系創出のために、パイ電子単一伝導体である超薄膜グラファイトに電極を作製し、その後位置合わせを行って2度目の電子ビーム露光で数100nm幅のチャネルを形成した。低温で電気伝導を評価したところ、ゲート電圧の印加に対してクーロンブロッケイドによる電流振動を観測した。この要因はナノチャネルが接している基板表面のナノメートルスケールの表面凹凸を反映したグラファイト内のポテンシャル揺らぎあるいは微細加工での加工ダメージの影響と考えられる。同様の微細加工を行わずに得られたナノグラファイトリボンの伝導でも類似のクーロンプロッケイド振動が観測されることも分かった。この系の伝導はバリスティック伝導が期待されているが、実際の伝導では想定していたよりもかなり基板との相関が大きくことが初めて見出された。
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