研究課題
1.MBJ法を用いた単分子伝導測定に関してはフラーレンC60架橋系の研究を行った。超伝導Al-C60-Al接合のIV特性は1mV以下で明瞭な多重アンドレーエフ反射特性を示し、また高バイアスでは多重散乱によると考えられるコンダクタンス揺らぎが見られる。予備的な解析では大きな透過率をもつ複数の伝導チャネルの存在が示唆されている。今後多数接合に関する両現象の統計解析によってフラーレン架橋系の伝導チャネルに関する知見を得る。2.単層及び多層グラフェン超伝導ジョセフソン接合を検討することにより、多層グラフェンジョセフソン接合で発見した超伝導臨界電流の特異な振舞いはスクリーニングによる層毎のキャリア密度の分布によってほぼ理解されることが分かった。グラフェン超伝導接合で期待される異常なアンドレーエフ反射機構を調べるために、50nm以下の極短接合の実現に成功し、バリスティックな超伝導電流が流れていることを観測した。3.ナノチューブを使ったナノギャップとその適応:分子材料の電気伝導を調べるためには、従来通りの金電極では接触界面抵抗が高い。2つの材料間の仕事関数が近ければ、接触抵抗を低減できると信じられていたが、実際の素子には界面での分子接着が重要になる。ペンタセンナノ結晶の電気伝導を計測するために、電極をナノチューブとすることで接触障壁を低減できることを見出した。ナノチューブに対してペンタセンを蒸着すると、ナノチューブの周囲にペンタセンが選択的に付着し、微結晶を作る。この微結晶は10nm以下のグレインを形成する。この方法で作製した素子では、金電極と比較して、4倍上の電流を流すことができ、従来の仕事関数で電極材料を選ぶ概念に対して新たな観点を明示することができた。
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