研究概要 |
本研究では,「ナノスケールで制御された分子-基板接合系の構築と電子物性」の研究を行っている.平成21年度は,具体的な系として以下の研究を行った. (1)有機分子化学修飾されたでSi(111)基板の振動スペクトルを測定するために,2つの方法を開発した.1つは,角度分解透過赤外吸収分光法、もうひとつは,Hg/有機分子/Si(111)のSi側からIR光を入射社背サンドイッチ界面で反射させることによる,反射吸収分光である.前者は,F4TCNQ/Si(111)-Hに適用し,第一層目のF4TCNQはフラットに吸着しアニオンになっていること,2層目以上は中性分子がランダム配向であることが分かった.後者の界面反射赤外では、Hg/アルキル/Si(111)系の測定に成功し,バイアス印加のもとで,振動スペクトルが測定できることを示した. (2)Cu(100)表面におけるF4TCNQの状態をSTM,UPS,XPS,HREELSで明らかにした.低温吸着ではF4TCNQはアニオン的になるが,室温吸着では,CN基とCuが直接相互作用し,再混成状態になることがわかった. (3)Rh(111)とシクロヘキサンの相互作用を,STM,IRAS,LEEDで詳細に調べた.振動スペクトルで観測されるソフト化されたCH伸縮振動モードの多様性の起源と,ピークのブロードニングメカニズムについて,詳細な研究を行った.
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