研究課題/領域番号 |
17069010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塩谷 光彦 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (60187333)
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研究分担者 |
田中 健太郎 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (40281589)
平岡 秀一 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (10322538)
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キーワード | 金属錯体 / 超分子 / 人工DNA / 電極架橋 / 分子機械 / 多座配位子 / 多核金属錯体 / 分子運動素子 |
研究概要 |
金属錯体は、固体表面のような階層性や方向性のある化学環境の中で特異な電子状態や反応性を示すことが期待される。本研究は、金属イオンの配列情報を精密にプログラムする生体高分子系および完全人工系多座配位子を用いて、ナノからメゾスコピックスケールの金属錯体型ナノリンク超分子をデザイン・合成し、それらを固体表面に固定したときの特異な物性や動的機能を探ることを目的とした。具体的には、標的とする金属錯体型ナノリンク超分子として、生体高分子をモチーフとした、一次元同種・異種金属クラスターと中空構造をもっ積層型ナノチューブ、完全人工系多座配位子を用いる分子運動素子と分子カプセルの構築を行った。詳細は以下のとおりである。 (1)DNAの水素結合型塩基対を金属配位型塩基対に置換することにより、異種金属イオン(例:銅と水銀、銅と銀)を二重らせん軸上に配列する方法を確立し、固体表面に固定するための官能基の導入を検討した。 (2)電極ギャップ架橋分子の構築を目指し、大環状多座配位子の設計・合成を行った。最後の環状化反応の条件検討を行っている。 (3)2枚の異なる有機ディスク状配位子と金属イオンで構築される分子ボールベアリングを基板に固定するために、化学修飾が可能な官能基の導入を行った。その結果、ディスク状配位子の1-3カ所の配位子環に官能基を導入する方法を確立できた。 (4)6個の遷移金属イオンと8枚の有機ディスク状配位子からなる、直径数nmサイズの球状分子カプセルを構築した。既に10種類以上の遷移金属イオンで同様の構造を得ることが成功しているが、この中で6配位型錯体のアキシャル配位子を介して固体表面に固定すべく、配位子交換反応を種々検討した。その結果、位置選択的にアキシャル配位子を導入できる方法を見出した。今後、固体表面への親和性について検討する。
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