研究課題/領域番号 |
17069012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宗像 利明 大阪大学, 理学研究科, 教授 (20150873)
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研究分担者 |
宮久保 圭介 大阪大学, 理学研究科, 助教 (70263340)
山田 剛司 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90432468)
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キーワード | 光電子分光 / 顕微光電子分光 / 電子ダイナミクス / 有機薄膜 / 吸着 / フェムト秒レーザー |
研究概要 |
平成19年度に導入した角度分解型エネルギー分析器用の真空容器を設計製作し、角度分解2光子光電子分光を可能にした。導入したエネルギー分析器を2光子光電子分光に用いるには本来の仕様を超えた電子レンズの調整が必要であるが、工夫を凝らすことでほぼ必要な性能が得られた。また、'昨年に引き続きHOPG上の鉛ブタロシアニン薄膜の2光子光電子分光を行い、共鳴励起前後でのスペクトル波形、強度を精密に測定し、理論との比較を行った。理論との違いについて、理論班のメンバーと議論を進行中である。理論では、占有準位と非占有準位の構造が共鳴の前後で対称的に現れるとされるが、実験的には、共鳴以下では非占有準位は観測されず、共鳴を超えると非占有準位が急に観測され、占有準位由来の構造は強度を失う。共鳴で線幅が狭くなる現象は、ほぼ理論通りに観測された。理論と実験の差異の原因を解明することは、光励起された準位の物理的意味を明確にする意義がある。さらに、励起状態に励起された電子のフェムト秒時間分解測定を行った。LUMOでの寿命測定が可能になった。レーザーパルス幅を狭める改造を行い、系統的に電子ダイナミクスを追跡する準備が整った。また、STMによる分子配列の測定と2光子光電子分光の対応をつけるために、Cu(111)に吸着したナフタレンのLEED測定を行った。回折像とSIM像の対応をつけることができた。今後、分子の吸着構造毎の電子状態を2光子光電子分光で追跡する予定である。
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