研究概要 |
1.H17秋に現有のHyperball2を用いてKEK-PSで<12>^C(π^+,K^+)反応により行った<12>^C,<11>^Bのガンマ線分光実験(KEK E566)のデータ解析を継続し、<11>^Bの基底状態二重項間のγ遷移(7/2^+→5/2^+,262keV)と、12^Cのコア第一励起状態から基底状態二重項へのγ遷移のうち一方(1^-_2→2^-,2.67MeV)を観測した。理論計算と比較し、前者からΛ核子間スピンスピン力の強さについて従来より小さい値Δ=0.33が得られ、後者から核子スピン依存LS力の強さについて過去に得られた値と異なる値S_N=-0.7MeVが得られた。 2.J-PARCで最初に行うハイパー核γ線分光実験の内容を検討し、プロポーザルを提出した。このE13実験は、J-PARCのDay-1実験の一つとして最初のPACで採択された。 3.Hyperball-Jの詳細設計を完成させ、Geant4によるsimulationを行って期待される性能を予測し、Ge検出器やPWO検出器の詳細な形状や仕様を決定した。 4.Ge検出器冷却用の機械式冷凍機の開発をメーカーとともに進めた。検出器に悪影響を与えずに冷凍機を直接接続できる新しい方法を見出し、これによって検出器を従来よりも低温に冷却することが可能になった。また一部の現有Ge検出器については性能回復を行った。 5.高速のPWOカウンターを用いたHyperball-J用バックグランド抑止カウンターの開発を進めた。ドープしたPWO結晶を-20度以下に冷却して光量を増加させることで、十分なコンプトン抑止の性能が達成された。冷却方式のテストも行い、デザインを確定してプロトタイプの製作を進めた。 6.Ge検出器の出力信号の波形を解析するプログラムの開発を進めた。東北大核理研で電子ビームを用いたテスト実験を行い、baseline補正により分解能と検出効率が大幅に改善することを確かめた。 7.機械式冷凍機と接続できる脱着型Ge検出器を開発し、必要台数のうち一部を購入した。
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