研究概要 |
(K-, K+)反応による[I]ハイパー核スペクトロスコピーの実験のために、J-PARCのK1.8ビームラインに、これまでに製作した飛跡検出器やトリガー検出器類を設置して調整を行った。平成21年10月からのビームタイムにおいて、これらの検出器系のビームを用いた性能試験を行い、設計通りの十分な性能が得られていることを確認した。また、π中間子ビームについてビーム調整を行い、ほぼ設計通りのビーム強度が得られることが判明した。ビームラインに設置された静電型質量弁別装置も十分にその機能を発揮し、期待以上によいK/π比が実現されていることが分かった。散乱K+中間子を測定するためのスペクトロメーター及び検出器系も、並行して設置し、ビームを使った調整を行った。飛跡検出器系は十分な位置分解能を達成できていることが確認できた。また、ビームによる運動量分解能の確認にも成功した。平成22年の1月から2月にかけて、π中間子ビームによる陽子との弾性散乱やΣハイペロン生成反応によるスペクトロメーターのエネルギー分解能の性能確認を行い、初期の性能としては十分なエネルギー分解能が達成されていることが確認できた。これにより、[I]ハイパー核スペクトロスコピーの実験データを取得する準備が整ったこととなる。しかし、加速器からの陽子ビーム強度はまだまだ調整段階にあり、実験を開始するには十分なK-中間子ビーム強度が実現できていないのが現状である。実験の開始のためには、加速器ビーム強度の調整待ちという段階にある。一方、π中間子ビームによるペンタクォーク探索のための予備データを取得することに成功した。
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