研究課題/領域番号 |
17071003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今田 正俊 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (70143542)
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研究分担者 |
鹿野田 一司 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (20194946)
求 幸年 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (40323274)
中辻 知 東京大学, 物性研究所, 助教授 (70362431)
渡辺 真仁 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (40334346)
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キーワード | 量子臨界現象 / 量子スピン液体 / フラストレーション / 金属絶縁体転移 / モット絶縁体 / 強相関電子系 / 新奇量子現象 / 特異な超伝導 |
研究概要 |
モット転移などの量子臨界点近傍の特異性や新奇な量子相である量子スピン液体相の研究が順調に進んだ。特に三角格子などの2次元的な異方性を持つ物質での絶縁相や金属相に対する理論研究が大きく進んだ。個々の成果を以下に詳述する。 三重臨界点、限界量子臨界点など絶対零度で1次転移と連続転移が移り変わる臨界点の持つ特異性が解明された。特に臨界点での波数ゼロのゆらぎの発散の引き起こす波及効果が明らかとなり、金属絶縁体転移、リフシッツ転移、メタ磁性転移に対する統一的で新しい視点が導入された。DCNQ塩での三重臨界点、ZrZn2のメタ磁性転移、κ-ET塩のモット転移に適用された。(今田)擬2次元有機伝導体k-(ET)2Cu[N(CN)2]clの実験で明らかになった異常なモット臨界性の普遍性を調べる目的で、類縁体k-(ET)2Cu[N(CN)2]Brの電気伝導度をヘリウム圧力下で調べた結果、Cl塩とほぼ同一の臨界指数を得た。(鹿野田) 擬一次元有機導体を、電子格子相互作用を含む拡張ハバードモデルを用いて調べた。実験に見られる電荷秩序相やダイマーモット相への相転移を再現し、さらに両者の共存する新しい誘電的な相を見出した。逆ペロフスカイト構造イジングモデルの基底状態の縮退が最も顕著となる際に現れる臨界点の示す特有の性質を明らかにした。(求) S=1擬二次元三角格子系NiGa2S4は、10K以下でフリージングが起こり、二次元秩序が起きることがわかった。比熱が温度の二乗に比例する振る舞いが、導入した不純物のスピンのサイズによって系統的に変化することをNiサイト置換から見出した。また、YbAlB4の組成を持つ新しい構造を発見し、重い電子系であることを見出した。(中辻) 価数転移の量子臨界点の性質、およびその近傍のゆらぎの効果を平均場近似と数値計算により調べ、価数クロスオーバーの領域で超伝導相関が増大することを見出した。その起源が電子のコヒーレンスの増大による、新しい機構にあることがわかった。(渡辺)
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