研究概要 |
平成17年度実験グループ(学習院大学): "F=2の^<87>RbスピノールBECのスピン交換相互作用の測定によるcyclic磁性状態の探索" このBECの磁性が反強磁性かcyclicかを明らかにするために、光トラップ中に|F=2,m_F=+2>と|F=2,m_F=-2>の混合BECを用意しその時間発展を観測した。斎藤・上田らは、もしこのBECがcyclicなら100mGの磁場環境下で|F=2,m_F=0>成分が現われ、150msの発展時間において全原子数の約50%を占めることを理論的に示している。測定では、10ms刻みで300msまでの時間発展を測定した。結果として、|F=2,m_F=0>成分は殆ど現われることなく、|F=2,m_F=+2>と|F=2,m_F=-2>の混合状態が持続される事が分かった。即ち、F=2 ^<87>Rb BECは反強磁性であることはほぼ間違いないと思われる。 平成17年度理論グループ(東京工業大学): 1次および2次ゼーマン効果が存在する場合の基底状態の性質の相互作用のパラメター依存性を、多成分グロス・ピタエフスキーエネルギー汎関数を変分方およびモンテカルロ法などをもちいることにより分析した。その結果、スピンが2のRb87のBECは2次ゼーマン効果により、これまでの実験結果、特に、ハンブルグ大学の実験結果からば基底状態がポーラー相であることを結論できないことを明らかにした。また、スピンが1の強磁性相のBECの場合は、スピン保存とスピン交換相互作用により、さまざまなスピンテクスチャーが自発的に生じることを見出した。この問題とは別に、内部自由度を持ったBECの新しい系としてダイポール相互作用を持ったBECの研究をはじめ、その最初の成果として、はじめスピン分極した状態から出発した系がダイポール相互作用により、自発的にコアを持たない量子渦を発生することを見出した。
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