研究概要 |
実験グループ(学習院大学) ^<87>Rb F=2スピノールBECの基底状態を決定するために、光トラップ中の微小なバイアス磁場の安定化を行い、m_F=±2とm_F=-2の混合BECの成分比を変えて時間発展を調べた。cyclicを明示するm_F=0成分の成長は観測されなかったが、実効的な非弾性衝突レートが成分比に依存する現象が観測された。これは磁性を決定するためには、非弾性衝突レートについての精密な理解が必要であることを示唆している。また、超微細準位の異なる2成分BEC|F=2,m_F=-2>および|F=1,m_F=-1>の超流動体間の相互作用の観察を行った。100msから300msの領域でドメイン形成および消失が特徴的な空間周波数付近に現れることを新たに発見した。 理論グループ(東京工業大学、電気通信大学) スピン自由度を持ったBECにおいて、ダイポール相互作用する場合の性質を平均場理論により分析した。まず、スピン1の^<87>Rb原子BECにおいて外部磁場を数十mG程度に抑えられれば、新たな基底状態が出現することを明らかにした。これらの相では、ダイポール相互作用を介してスピンテクスチャーが自発的に形成され、それがスピン-ゲージ対称性により超流動を生む。つまり基底状態で自発的な循環流が存在することを見出した。また、磁場中でゼーマンエネルギーが支配的な場合においてもダイポール相互作用の効果は観測可能で、BEC自身のつくるダイポール場が非一様であるために、スピンテクスチャーが自発的に形成されることを示した。 この問題とは別に、スピン1の^<87>Rb原子BECの磁気量子相転移における自発磁化過程を、数値計算により詳細に調べ、バークレーのグループが観測したポーラーコア量子渦が自発的に生成されるダイナミックスを分析した。特に、外部パラメーターを挿引する時間を変化させることで、発生する渦の数が変化することを明らかにした。
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