研究課題/領域番号 |
17072003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 典男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (40111306)
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研究分担者 |
為ヶ井 強 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30183073)
花栗 哲郎 独立行政法人理化学研究所, 高木磁性研究室, 先任研究員 (40251326)
音 賢一 千葉大学, 理学部, 助教授 (30263198)
町田 一成 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50025491)
西嵜 照和 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90261510)
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キーワード | 強磁場物性 / 走査プローブ顕微鏡 / 第II種超伝導体 / 強相関電子系 / 量子閉じ込め / 混合状態 |
研究概要 |
(1) 強磁場中における強相関電子系物質のナノ電子状態を明らかにするために、30T級ハイブリッドマグネット中で使用可能な小型の走査トンネル顕微鏡(STM)ヘッドの試作を行った.また、RHK社のSTMコントローラ(設備備品,SPM1000)を導入し、自作のSTMヘッドの動作テストとハイブリッドマグネット環境での測定システムの作製を行った.(2)数テスラ程度の磁場における層状ルテニウム酸化物の磁気抵抗異常の原因を探るため、超伝導磁石中での磁気光学観察を予定しているが、現有のシステムでは光学像の焦点が観察を行う低温において鏡筒の熱収縮により室温と比べ大幅に変化する。本年度は、この収縮を補正する為の機構を大型ヘリコイドを用いて作製した。(3)超高真空、0.4Kから20Kまでの温度、最大11Tまでの磁場中で、原子レベルで同一視野の原子分解能STSが可能なSTMを開発した。このSTMを用いて高温超伝導体(Ca, Na)_2CuO_2Cl_2の低エネルギー電子状態マッピングを行い、超伝導に起因すると思われるギャップ構造とその磁場依存性の観測に成功した。(4)低温強磁場での量子ホール状態にある2次元電子系の電位分布を計測するシステムを構築し、電流分布のイメージングを行った。ZnSe/BeTeタイプII量子構造での発光の詳細を微細開口マスクを併用した空間分解測定から調べ、光励起で生成されたキャリアが面内方向にマクロな距離伝播することを明らかにした。(5)第II種超伝導体の混合状態の電子論を発展させた.特に、磁場中の熱力学量の測定からいかに超伝導体のノードの様子等のギャップ構造を知ることができるかを理論的に検討した.その結果、低温の磁場中比熱の精密測定からギャップ異方性の度合いを定量的に見積もることができることを明らかにした.
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