研究分担者 |
為ヶ井 強 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (30183073)
花栗 哲郎 独立行政法人理化学研究所, 高木磁性研究室, 主任研究員 (40251326)
音 賢一 千葉大学, 理学部, 助教授 (30263198)
町田 一成 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (50025491)
西嵜 照和 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90261510)
|
研究概要 |
(1)強磁場中における強相関電子系物質のナノ電子状態を明らかにするために,小型の走査トンネル顕微鏡(STM)を作製した。30Tハイブリッドマグネット,18T冷凍機冷却マグネット環境下で特性評価を行ない、環境ノイズがSTMの原子分解能に与える影響を明らかにし、対策を進めた。 (2)STM/STSによって高温超伝導体(Ca,Na)_2CuO_2Cl_2の低エネルギー電子状態マッピングを行い、d波超伝導に特有な準粒子'干渉効果を発見し、転移温度にフェルミアークの実効的長さが関連していることを明らかにした。更に、準粒子干渉効果の磁場依存性の測定に成功し、散乱前後に準粒子が感じる秩序パラメータの符号によって磁場効果が大きく異なることを発見した。また,酸化物高温超伝導体YBa_2Cu_3O_yのSTM測定を7Tまでの磁場中で行い,CuO_2面の電子状態が磁場によって変調されることを観測した. (3)Sr_4Ru_3O_<10>における遍歴メタ磁性転移に伴う抵抗の異常の原因を明らかにするため、H//cにおける磁気光学観察を行った結果、磁化の温度依存性に対応するほぼ均一な強磁性状態を確認した。一方、H//abにおける磁化-磁場曲線の角度依存性を詳細に測定し、メタ磁性転移磁場が面内磁場一定から大きく逸脱することを明らかにした。 (4)GaAs結晶のポッケルス効果を用いた低温・強磁場中の2次元電子系における電位分布のイメージング装置を構築し、量子ホール効果における電流分布および量子ホールブレークダウン現象について調べた。 (5)実験グループとの連携の下に、高温超伝導体を念頭におき,渦のSTM実験の基礎理論を展開した.特に高磁場STMで観測可能な常磁性効果の効いた特異な渦の電子構造を研究した.更に高磁場領域で期待されるFulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov状態の微視的理論を発展させた.
|