研究課題/領域番号 |
17072004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金道 浩一 東京大学, 物性研究所, 教授 (20205058)
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研究分担者 |
長田 俊人 東京大学, 物性研究所, 准教授 (00192526)
徳永 将史 東京大学, 物性研究所, 准教授 (50300885)
大道 英二 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00323634)
網塚 浩 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40212576)
海老原 孝雄 静岡大学, 理学部, 准教授 (20273162)
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キーワード | 強磁場 / 100テスラ / 磁化測定 / X線回折 / XMCD / 中性子 / J-PARC / ロングパルス |
研究概要 |
100T領域での精密な物性測定を行うためには、ある程度の大きさのマグネットを作る必要がある。これまでに85T程度の磁場発生に成功した二段パルス方式マグネットでは内コイルの内径が5mmφであるが、これを広げることにより様々な可能性が期待できる。例えば、更にもう-段の内コイルを設置して100Tに近づく事も可能となるし、あるいは精密な実験を行う事も出来るようになる。この様な目的で製作されたのが、内径50mmφを持つマグネットである。現在は、阪大強磁場に設置され、最大40T、パルス幅が約30~40ミリ秒の磁場発生を確認している。マグネットの能力としては60T程度まで発生可能と思われるが、40T発生時で既に800kJを使っており、当面は40Tでの運用となる。このマグネットは大口径の利点を活かした精密測定に使用される予定である。 これまで放射光を利用した強磁場実験として、主としてX線回折測定を進めてきた。これに用いられるマグネットはスプリット型であり、様々な用途に用いられる利点の代わりに最大磁場が40Tと抑えられていた。現在は、60Tでの実験が可能となるXMCD測定のためのソレノイド型マグネットの開発を行っている。コイルの基本パターンは、従来のソレノイドコイルと変わらないが、コイルの長さ方向のスペースを削り、限られたボアサイズに対して立体角を確保できるように工夫している。磁場発生テストでは55Tを記録しており、計測段階に至っている。ほぼ同じ構造のマグネットを中性子実験に利用するためJ-PARCにも配備されている。 パルスマグネット用の線材開発についても進展があった。物質・材料研究機構の研究協力により作製された銅銀線は新たな組成で作られており、引っ張り強度が1GPaを超える線が完成した。現状では.断面積が1mm×1.5mmの線材を用いた評価を進めており、シングルパルスでの磁場発生においてその磁場値を飛躍的に伸ばす事を狙っている。
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