研究分担者 |
萩原 政幸 大阪大学, 極限量子科学研究センター, 教授 (10221491)
後藤 貴行 上智大学, 理工学部, 教授 (90215492)
太田 仁 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (70194173)
熊谷 健一 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (70029560)
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研究概要 |
20年度に得られた主な成果を列挙する : (1) 48Tまでのパルス磁場下でNMR観測に成功し、スペクトルの測定を可能にした。スピンエコー法によるパルス磁場下NMRの成功は世界初である。 (2) 擬二次元三角格子反強磁性体NiGa 2S4で強磁場多周波ESR測定を行い、線幅の温度変化や共鳴磁場の周波数変化などからハイゼンベルグスピン系で予想されていたZ2ボルテックスのトポロジカル転移がおよそ8.5Kで起こっていることを明らかにした。 (3) S=1/2一次元イジング型反強磁性体とみなせるBaCo 2V208において比熱で見つけられた新たな磁場誘起磁気秩序相で中性子散乱実験を行い、非整合の新奇な磁気秩序を観測した。 (4) 定常磁場下およびパルス磁場下で, 本特定予算で導入したロックインを用い, カンチレバーESRの感度をこれまでの100倍(109 spins/G)に引き上げ, 高周波数化および強磁場化に成功した。パルス強磁場ESRでは, S=1/2カゴメ格子反強磁性体モデル物質であるCu3V207(OH)2・2H20(Volborthite)やBaCu 3V208(OH)2(Vesigniete)を中心にスピンダイナミクスや基底状態の知見をえることに成功した。 (5) トータルスピンがゼロのシングレット基底状態を持つ反強磁性リングナノ磁性体Cr8にCd2+(s=0)やNi2+(s=1)を挿入したCr8Cd([Cr8CdF9(02 CCMe 3)18]・[(Me2NH2)])やCr8Ni([Cr8 NiF 9(02 CCMe 3)18]・[(Me2NH2)])など異なるトポロジーをもつ物質を対象に、強磁場磁化過程およびプロトン核のNMRの測定を極低温領域で行った。少数スピン系の特徴である離散的エネルギー準位を反映した磁化の明瞭なステップを観測し、これらの系の量子準位構造を明らかにした。
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