研究課題
固体中伝導電子の強磁場下におけるスピン物性に関して、以下の各項目に対する研究を行なった。1.GaAs/AlGaAs半導体ヘテロ構造中2次元電子系および2次元電子系に近接する位置に量子ドットを組み込んだ試料の輸送現象および磁気発光特性測定を行い、表面に作製した透明ゲートに印加する電圧を変化させることで量子ホール効果状態特有の特性に特徴的な変化を見出した。この特性が、量子ドットの異なるスピン状態と2次元電子のスピン分極状態の間でのスピン散乱による効果によって説明でき、低温強磁場特有の現象であることを理論モデルを用いて明らかにした。2.分子線エピタキシー法により作製した希土類磁性不純物Ybを含む半導体超格子GaAs/AlAs:Ybの磁気発光スペクトルを水冷銅磁石により25Tまでの強磁場下で測定した。異なる超格子構造を持つ試料に対する系統的な測定により、Yb不純物がAlAs層において、正孔トラップの役割を果たし、結果として井戸層内に2次元電子の蓄積を生み出すことを明らかにした。3.昨年までの我々の研究で(Zn,Cr)Teの強磁性特性はp型、n型の荷電不純物ドーピングにより大幅に変化することが明らかになっているが、今年度の研究においてはその原因を究明するため、透過型電子顕微鏡(TEM)およびエネルギー分散型X線分光(EDS)により結晶構造解析および組成分析を行った。その結果、結晶中のCr組成分布は荷電不純物のドーピングにより著しく変化していることを見出した。4.単層カーボンナノチューブに対して、一巻きコイル法による超強磁場下磁気光吸収測定システムを改良し、印加磁場領域を150Tまで拡張することにより、高分散高配向させた膜試料の第2サブバンドギャップに対応する吸収ピークが低エネルギーシフトするとともに、高エネルギー側に弱い吸収ピークが現れる兆候を観測した。また、これらの実験で用いることのできる超短パルステラヘルツ光システムおよびマイクロコイルパルス磁場に関する基本的な開発を行った。
すべて 2006
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