研究課題
これまで行ってきたGaAs/AIGaAsヘテロ界面に形成される2次元電子系と量子ドットや希土類イオンに局在した電子との相関に関する研究について、今年度は特に2次元電子系を電子相関の検知に使用する方法を用いて以下のような研究を行った。(1) GaAs/AIGaAsヘテロ接合の近傍にInGaAs自己形成量子ドットを埋め込んだ系では、量子ホール効果を示す低温輸送特性が、量子ドット中の電子数によって、特に量子極限での電気抵抗に異常を示すことをこれまでに報告してきた。今回は、この系を用いて、ミリ波から遠赤外領域でのサイクロトロン共鳴実験を行い、通常の2次元電子系が示すサイクロトロンエネルギーが磁場に対して線形に依存する線幅の細いサイクロトロン共鳴に加え、量子ドットを埋め込んだ系では、不純物サイクロトロン共鳴に似た、非線形な磁場依存性を持つ比較的線幅の広いサイクロトロン共鳴線が見出した。(2) 半導体中伝導電子とスピン散乱を介した現象が予想される系として、希土類不純物であるYbをヘテロ界面近傍に導入した系により、2次元電子系の輸送現象に与える影響を調べた。その結果、AIGaAsバリアーとAIAsバリアーの場合で、2次元電子系の輸送特性は大きく異なり、後者では、1.9eV程度の高エネルギーの光を照射しないと、2次元電子の易動度が回復せず、低易動度2次元試料が示す磁場誘起絶縁状態を示すことが分かった。一方、AIGaAsバリアーの場合は、1.5eV程度の低エネルギーの光照射で易動度の回復が見られ、こうした条件から、YbイオンがGaAs中に形成する等電子トラップのエネルギー位置の推定に成功した。また、こうした研究に加えて、強磁場下で用いるいくつかの新しい測定システムの開発およびそれを用いた測定を行っている。
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