研究概要 |
本年度は下記の研究を行い、ほぼ所期の計画を達成した。 1. イオン液体固定型メディエーターの合成と電極触媒的脱硫フッ素化への応用: 4級アンモニウム塩部位を分子内に持つヨードベンゼン誘導体をメデイエーターとするHF塩イオン液体中での高効率的な電極触媒的フッ素化に成功した。このメデイエーターはHF塩イオン液体中にと留めることができることからイオン液体と両者が繰り返し再利用可能なことも例示することができた。 2. イオン液体中での高分子化合物の電解脱硫黄フッ素化: 高分子化合物の電解反応は従来困難とされてきたが、フルオレン誘導体の導電性高分子を電極上に塗布し膜を形成させ、HF塩イオン液体中で電解酸化することにより効率的に脱硫フッ素化することに成功した。本法は電極上高分子フィルムという固相反応でありながら極めて高い反応率と選択性を達成したが,その理由として共役系高分子を用いているため膜内部や電極に接していない膜表面に至るまで電極への電子移動が効率的に行われる点が挙げられる.さらにそれに伴い電荷を補償するドーパントとして系中のフッ化物イオン(求核剤)が静電的に浸透し、求核剤が膜内部にまで到達できることが要因として考えられる,また、分子性溶媒と異なり、イオン液体を用いることにより膜の剥離が抑制できたことからイオン液体ならではの電解反応といえる。さらに、本法はカルバゾールとフルオレンとの交互共重合体にも適用可能であり、製膜状態のまま電解脱硫黄フッ素化を達成することができた。
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