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2005 年度 実績報告書

非線形分光法によるイオン液体中のエネルギーおよび分子ダイナミクスの研究

研究課題

研究課題/領域番号 17073012
研究機関京都大学

研究代表者

木村 佳文  京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (60221925)

キーワードイオン液体 / 分子拡散 / 過渡回折格子法 / エネルギー移動 / 構造緩和 / 共鳴ラマン分光 / 溶媒和
研究概要

ナノ秒パルスレーザーを用いて、過渡回折格子法によりイオン液体中での分子の並進拡散を測定するシステムを構築し、ジフェニルシクロプロペノンの光解離反応によって生じるCO、ジフェニルアセチレンの拡散係数を種々のイオン液体で決定した。またベンゾフェノンの水素引抜反応によって生じるケチルラジカルの拡散係数の測定をおこなった。その結果、ラジカルの拡散係数は通常の液体からイオン液体にわたる広範な粘度領域においてStokes-Einstein則に従うことが明らかとなった。またベンゾフェノンとケチルラジカルの拡散係数の比はイオン液体中のほうが通常の液体中よりも大きく、イオン液体の電場揺らぎが拡散係数に影響を及ぼしていることが考えられる。今後、他の反応中間体分子との比較を進める予定である。
また、フェムト秒領域の測定においては、チタンサファイアレーザーの第二高調波をポンプ光とし、基本波をプローブ光として、マラカイトグリーンを対象にイミダゾリウム系のイオン液体中でのエネルギーダイナミクスを過渡回折法により検討した。イオン液体中では、光励起失活過程にともなう音響信号とともに、イオン液体の構造緩和にともなう信号も現れることが明らかとなった。今後実験システムの改良をすすめ、フロー条件での測定を可能にし、他のプローブ分子での測定を進める予定である。
一方で、共鳴ラマン分光法を活用し、イオン液体中での溶媒和に関して溶質分子の構造変化から考察を行った。ジフェニルシクロプロペノンの構造変化から、イオン液体のアクセプター数が評価できることを明らかにし、種々のイオン液体のアクセプター数を決定した。またフェノールブルーの共鳴ラマンスペクトルの測定から、顕著な溶媒依存性を示すC=N伸縮振動の振動数とその揺らぎの大きさは、イオン液体と通常の液体とではことなる相関を示すことがあきらかとなった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Raman spectroscopic study on solvation of diphenylcyclopropenone and phenol blue in room temperature ionic liquids2006

    • 著者名/発表者名
      T.Fujisawa, M.Fukuda, M.Terazima, Y.Kimura
    • 雑誌名

      Journal of Physical Chemistry A, (2006) (in press)

  • [雑誌論文] Excitation wavelength dependence of the Raman Stokes shift of N, N-dimethyl-p-nitroaniline2006

    • 著者名/発表者名
      T.Fujisawa, M.Terazima, Y.Kimura
    • 雑誌名

      The Journal of Chemical Physics,(2006) (in press)

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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