研究概要 |
非環状のフォスフォニウムカチオンが室温で安定なフルオロハイドロジェネートイオン液体を与え、電気化学窓がかなり広いものが存在することが明らかとなった。フルオロハイドロ・ジェネート型燃料電池(FHFC)について、イオン液体中での溶存水素、酸素の拡散定数や溶解度の決定を行った金上での里白金触媒上での酸素還元反応(ORR)について、電位領域によって水を生成する反応に加えて過酸化水素を生ずる副反応が存在し、この副反応には電極へのカチオン吸着が影響していることが明らかとなった。触媒被毒による発電性能の低下を軽減し、さらに熱的安定性を高めるためにはイミダゾリウム系よりもピロリジニウム系のほうが適していることが明らかとなった。この結果を踏まえ、アニオンのHF組成の低いEMPyr(FH)_<1.7>Fとポリマーを複合化し、これを膜電解質として用いた単セルの100℃以上の中温無加湿条件下での試験の結果、従来のイミダゾリウム系よりも高い発電性能を示すことを実証した。フルオロハイドロジェネートイオン液体を電解質に用いた電気二重層キャパシタは、従来の有機電解液系に比べ著しく大きい容量(約150Fg^<-1>)を示し、充電電圧が大きくなるに従って容量が増加する電圧依存性が見られた。耐電圧は2.5V前後であり、低温特性にも優れることが示された。Li, Na, K, Rb, Csのビス(トリフルオロメチルスルフォニル)アミド(TFSA)塩の2元系ならびに3元系状態図を作成し、共晶点を決定した。融点の低下や液体状態の組成範囲の拡張、低粘性化が可能になり、Li(20)K(20)Cs(70)TFSA塩や、Na(10)Cs(90)TFSA塩を開発し、正極材料としてオリビン鉄を用いた金属リチウム二次電池、クロム酸ナトリウムを用いたナトリウム二次電池はそれぞれ中温度域での充放電試験で優れたサイクル特性を示した。
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