研究課題/領域番号 |
17073017
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松本 一 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 主任研究員 (80358043)
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研究分担者 |
栄部 比夏里 独立行政法人産業技術総合研究所, 主任研究員 (80357491)
香山 正憲 独立行政法人産業技術総合研究所, 統括研究員 (60344157)
水畑 穣 神戸大学, 工学部, 助教授 (10283871)
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キーワード | エネルギー全般 / 再生可能エネルギー |
研究概要 |
リチウム二次電池に適用可能であることを示してきた脂肪族4級アンモニウム(以下QA^+と略す)とTFSI^-([CF_3SO_2)_2N]^-)からなるイオン液体は、粘性が高いために充放電電流密度が高くなると電池容量が低下する問題点があった。そこでより粘性が低いFSI^-([(FSO_2)_2N]^-)を検討したところ、TFSI系の10倍に匹敵する電流密度でも良好な電池特性を示す事を見いだした。FSI系の粘性はTFSI系のほぼ半分であるが、まだ従来の有機電解液の一桁以上であることを考慮すると、電解質中でのLi^+輸送が律速ではなく、電極界面での電子移動過程にもその原因が求められ、これらの相違がアニオンに由来することが明確になった。イオン液体にLi塩を添加すると、従来のTFSI系ではその濃度によって粘性が著しく増加(例えば1mol dm<-3>の添加で7倍)するのが問題であったが、FSI系ではあまり増加しない(例えば1mol dm^<-3>の添加で2倍程度)事を見いだした。リチウムカチオンとアニオンの相互作用が異なるためであると考えられる。 イオン液体の液体構造について、X線散乱(SAXSおよびWAXS)測定により、種々のアルキル鎖長からなるQA^+とTFSI^-からなるイオン液体構造について検討した。q=2-4nm^<-1>(第1ピーク)、q=8nm^<-1>(第2ピーク)、q=13nm<-1>(第3ピーク)の代表的なピークが観測され、特に第1ピークのピーク強度、q値が鎖長に依存することから、鎖長に依存する周期構造を反映することが分かった。さらにLi[TFSI]を添加した場合について検討したところ、その添加量とともに第3ピーク強度に対する第2ピーク強度が減少し、また第1ピーク強度が増大した。これらの変化はLi^+がアルキルアンモニウムよりも強くTFSI^-と相互作用し、局所的異相構造が増大することが示唆された。 一方、これまで低粘性のイオン液体を形成するため検討してきたRFBF_3^-からなるQA^+の中から室温で固体ではあるが、広い温度領域で柔粘性結晶相を示し、高い導電性を示す塩が見いだされた。
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