研究課題/領域番号 |
17073017
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松本 一 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 主任研究員 (80358043)
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研究分担者 |
香山 正憲 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 上席研究員 (60344157)
水畑 穣 神戸大学, 工学部, 准教授 (10283871)
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キーワード | イオン液体 / 電解質 / 電気化学デバイス / 第一原理計算 |
研究概要 |
本研究は高エネルギー密度の蓄電デバイスとして特にリチウム電池のための安全で耐久性のある電解質としてのイオン液体の開発並びに、デバイス構成材料のイオン液体への最適化のための設計指針を得る事を目的として、新規なイオン液体の合成とその物性測定、リチウム二次電池特性評価、電極界面の化学的および電気化学的解析等の実験から得られた情報と理論計算によるシミュレーション結果を相互にフィードバックする事によって、イオン液体やデバイス構成材料の最適化についての指針を得ることを最終目的とするものである。最終年度ではこれまで得られた知見をまず内部抵抗の観点から総括した。内部抵抗成分の重要な因子である電極界面電荷移動抵抗および溶液抵抗の両者について見たところ、粘性だけに依存せずアニオン種の構造に強く影響されることが分かった。すなわちLiイオンとアニオンの相互作用が性能を左右することが示唆された。昨年度より第一原理計算によるLi(100)面上でのイオン液体(EMI[BF4])分子のエネルギー計算を行い、Li金属表面原子←BF4←EMIのような電子の流れの存在が示唆されたが、今年度はさらにイオン数を増やし実際の界面に近い状況での計算を行った。その結果、Li金属表面に存在するイオンのみに電子の流れが見られ、沖合のイオン種にはその影響がほとんどないことが判明した。電池特性にアニオン種が大きな役割を果たすという実験結果は、このような金属表面の接触界面での電子移動が表面第一層のみで起こっている現象によって引き起こされている可能性がある。アニオンとLiイオンとの相互作用、アニオンとLi金属等との相互作用が電池全体の特性を支配することが明らかとなった。イオン液体のリチウムニ次電池への応用に関してはアニオン種を如何に設計するかが鍵であり、計算科学的手法の活用により今後より優れたイオン液体が見いだされる事が期待される。
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