海外調査としてアメリカとフランスにおいて調査を実施した。アメリカでは、歴史的建築物の防火対策並びに保全に関わる保険制度と、それに関わる技術革新の実態を調査した(11月)。フランスでは、歴史的市街地並びに歴史的建築物の防火・防犯対策、それらに対する行政の監視、並びにそれらと関わる技術革新の実態を調査した(3月)。 国内調査として、国内の歴史的建築物に対する防火対策の実態調査を実施し、海外調査の成果を参考に、今後必要とされる技術革新の方向性を検討した。現在、消防庁と文化庁によって、文化財である歴史的建築物の防火対策のあり方の見直しが検討されているが、これらの研究成果は見直しのための重要な資料として役立てられている。 昨年度までの研究成果を論文や日本建築学会の大会や、日本建築学会の支部や小委員会が主催する研究会やシンポジウムにおいて発表した。具体的には、歴史的建築物や歴史的町並に対する防災・防犯対策、歴史的建築物に対する安全関係の法令の適用、台湾の伝統産業である茶産業の技術革新等について発表を行った。また、歴史的町並の消防対策に関する研究成果と台湾の茶産業に関する研究成果を図書にまとめ発表した。なお、本特定領域研究を取りまとめている科学博物館が編集した報告書のなかに、本研究から得られた技術革新に対する成果を、「技術革新と外的要因」と題してまとめた。本年度の研究成果をふまえ、平成17年度から行ってきたこれまでの研究成果の全体を、新年度に入ってから報告書としてまとめることを予定している。
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