国立科学博物館では産業技術の発達の歩みを示す具体的な事物を「産業技術史資料」と位置付け、所在調査を行っている。所在の明らかになった産業技術史資料は、技術分野ごとに群としてのまとまりを示しつつあり、本研究ではこれらの産業技術史資料が、技術発達の過程の中でどのように位置付けられるのか、歴史的経緯を踏まえながら整理する。 これまでの調査の結果、48の産業分野について、資料としてのまとまりが形成されている。これらの産業分野の中から中核をなす技術を選び出し、現存資料に基づいた技術革新の歴史を整理する(技術の系統化)。 技術の系統化は、実際に技術開発に携わった技術者OBを研究協力者として招聘して行う。また、系統化した技術開発史は、モノグラフとして蓄積し、今後の産業技術史研究を推し進めるための知識基盤として提供する。 平成17年度は、18年度以降に技術の系統化を行う具体的な分野を検討し、研究協力者として実際に調査を行う技術者OBの人選を行った。技術者OBの人選に当たっては、その産業分野を束ねる関連工業会の協力を仰ぎ人材を推薦いただき、面談の上、本研究の意図を十分理解し協力いただける人員をリストアップした。 リストアップした産業分野と関連工業会は次のとおりである。 (1)板ガラス(板硝子協会)、(2)自動販売機(日本自動販売機工業会)、(3)ボイラー(日本ボイラー協会)、(4)化学繊維(日本化学繊維協会)、(5)電子管、(6)ソーダ(ソーダ工業会)、(7)石鹸・洗剤(石鹸洗剤工業界)、(8)移動通信機(インフラ)、(9)発酵(バイオインダストリー協会)、(10)内燃機関(日本内燃機関連合会)、(11)一次電池(電池工業会)、(12)エレベータ(日本エレベータ協会)、(13)水車。 18年度は上記の中から8分野を選出し、技術の系統化を行う。
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