国立科学博物館では産業に技術の発達の歩みを示す具体的な事物を「産業技術史資料」と位置付け、所在調査を行っている。本研究では産業技術史資料が、技術発達の過程の中でどのように位置付けられるのか、歴史的経緯を踏まえながら整理する。これまでに所在調査を行った89の産業分野から中核をなす技術を選び、技術革新の歴史を整理する(技術の系統化)。技術の系統化は、実際に技術開発に携わった技術者OBを研究協力者に招聰して行う。また系統化した技術開発史はモノグラフとして蓄積し、今後の産業技術史研究を推し進めるための知識基盤として提供する。 平成20年度は、次の産業技術分野についての技術の系統化を行った。 (1)硬度計、(2)酵素醗酵、(3)自動車用ブレーキ、(4)エスカレーター、(5)ビール 上記で、系統化する所期の分野は終了し、多様な技術発展の過程が明らかとなった。この他に、これまで本研究では、板ガラス、電子管、ソーダ、石鹸・洗剤、内燃機関、一次電池、エレベータ、発電用水車、紙パルプ、デジタルカメラ、しょう油、電子顕微鏡、アミノ酸発酵、プロセス制御の系統化を行った。また国立科学博物館では、VTR、コンピュータ(第一・第二世代)、塩化ビニル製造、コンピュータ(第3世代以降・スーパーコンピュータ)、塩化ビニル成型、オフィスコンピュータ、ロボット、稲作用農機具、産業用ロボット、電力用変圧器、タンカー、テレビ、サービスロボット、電力用タービン発電機、専用船、銅精錬、電子式卓上計算機、露光装置、原子力用タービン発電機、移動通信端末・携帯電話、ボイラー、飲料自動販売機、衣料用ポリエステル繊維、公衆移動通信システム、缶用表面処理鋼飯、製鉄業輸送技術、貨車、ガスタービン、フェライト、チタン、鉄鋼製造制御の系統化を行っている。 21年度はこれらをケーススタディーとして日本の技術革新の特長について明らかにする。
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