研究課題/領域番号 |
17075003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
矢野 雅文 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80119635)
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研究分担者 |
牧野 悌也 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (90250844)
坂本 一寛 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (80261569)
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キーワード | 見なし情報 / 随意運動制御 / 生物・生体工学 / 脳・神経 / 実世界 / リアルタイム性 / 拘束条件 |
研究概要 |
生命システムの認知機能や運動機能は環境との調和的関係を作り出すための機能である。これまでの運動制御は、環境とシステムを分離し、環境を限定したときに求められた継時的秩序の法則を用いているが、これは無限定環境下でのリアルタイムな制御には適しない。われわれは予測不可能的に変化する実環境に柔軟に適応する「共時的な秩序を生成する法則」を明らかにすることで、「大脳皮質運動関連領野が創る「見なし情報」による随意運動制御」の研究を行った。無限定な環境にある生命システムが環境と調和的な関係を創らなければならないが、どのような調和的関係を作るのかということが拘束条件である。この拘束条件は調和的な関係を「仮設」することに相当するので「見なし情報」であり、この「見なし情報」無しには生命システムは機能しない。 随意運動制御においては、運動インピーダンスマップ中での空間変換が必要となる。最上位の拘束条件としての「見なし情報」は運動目的を設定し、制御系はこれを力と運動の次元で手先空間、関節空間、筋空間への指令に変換することで運動を実現する。生命システムの身体は冗長で不良設定性が存在するため、制御系には空間変換を決定するための拘束条件が必要で、実環境で運動を発現するためにこの拘束条件はリアルタイム適応性を有する必要がある。本年度は、随意運動として腕到達運動に焦点を絞り、システムのリアルタイム適応するための1)手先速度拘束の生成機構、2)"mobility measure"による手先速度空間から関節速度空間への自律分散的な変換機構、3)筋効率による自律分散的な筋出力最適分配機構をモデル化し提案手法の心理実験・生理実験・実機による検証を行った。また、システムに「見なし情報」を与えるための音声コミュニケーション基盤技術の開発を行った。いずれも所期の目的を達成している。
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