研究概要 |
ロボットの行動は,制御則,環境そして身体の相互作用によって生み出される.本研究は,このような相互作用を利用し,二足,四足,ヘビ型ロボットについて適応的ロコモーションを工学的に実現する手法について研究することを目的としている.平成18年度は,筋緊張の調整による二足ロポットの歩行速度制御,二足ロボットの走行,跳躍の基礎実験,CPGを用いた二足歩行の安定化,四足ロボットの不整地適応走行,空気圧駆動ヘビ型ロボットの試作などを行った. (1)筋緊張の調整による二足ロボットの歩行速度制御,二足ロボットの走行,跳躍の基礎実験(細田) 空気圧駆動二足ロボットの歩行において,拮抗駆動に用いられている人工筋の緊張を変化させると歩行速度が変化することを見出し,その関係性を実験的に調べた.その結果,筋緊張が高まると歩行速度が向上することがわかった.また空気圧による拮抗駆動を利用して二足ロボットの跳躍と走行に関する基礎的実験を行った.特に,足首の緊張度と跳躍の方向についての調査を行った. (2)CPGを用いた二足歩行の安定化(辻田) 空気圧人工筋による拮抗駆動二脚ロボットに対し,振動子ネットワークによるタイミング制御を適用した.シミュレーションの結果,相互引き込みを利用した安定な歩行リミットサイクルを実現した. (3)四足ロボットの不整地適応走行(木村) 腰関節が能動,膝関節が受動となる四足歩行ロボットRushを開発し,過渡状態や不整地適応などの非定常状態においてはリズム生成部が有効に働き,定常状態ではバネ・質量系という受動ダイナミクスが主に働くという系が,切り換えを必要とせずに一つのシステムで構成できることを実験的に示した. (4)空気圧駆動ヘビ型ロボットの試作(井上) ヘビにおける移動知を明らかにするための初期段階として,まずヘビに関する解剖学・バイオメカニクスに基づき,柔軟な身体を有するヘビ型ロボットを開発した.またヘビの脊髄に存在し,蛇行運動などのリズミカルな運動の下位の制御を司っていると考えられる中枢パターン発生器(CPG)をモデル化し,環境との力学的相互作用の情報を用いて環境変動に適応する神経的コントローラを構築している.
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