研究概要 |
本班における力学的共通原理の発見指針は,「移動主体が無限定環境に適応してゆくメカニズムは「種」によって見かけ上異なっているがそれは手段の違いであって,その駆動力には共通的な力学的原理が働いている」という作業仮説に基づく.この作業仮説の妥当性を示すためには,さまざまな複雑度を有する移動主体を同時に考察する必要性がある. 本年度は特に(あ)粘菌ロボットの群知能に関する実証実験(石黒),(い)四脚受動的動歩行の安定化原理の理論的研究(大須賀),(う)マニピュレータの身体性に基づいた制御方策の具現化(鄭),(え)A, B, C班で提案されてくる種々の移動知モデルについて,制御理論的・力学的観点から考察し,安定論を展開した.具体的には (あ)小型粘菌ロボットを20台試作した.また,シミュレーションによって500台,1000台の粘菌ロボットのコヒーレントな行動実現を確認した. (い)4脚受動的動歩行についてのシミュレータを試作し,また同時に実験機を試作し,歩行実験に成功した.これによって4脚受動的動歩行の存在性が示された. (う)同じ動作のように見えてタスクが異なる作業として石臼を回す作業と茶筅を回す作業を取り上げ適応的な制御則を考えた.そしてそれを,無限定環境下における見なし情報の利用という観点から考察を行った. (え)D班をはじめ,A班,B班,C班の研究者に対して,長時間のインタビューを実施し,その中から,受動的適応機能と能動的適応機能というテンプレートの考え方を提案した.
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