研究分担者 |
佐々木 啓一 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30178644)
鎌倉 慎治 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (80224640)
高橋 一郎 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (70241643)
中村 雅典 昭和大学, 歯学部, 教授 (50180394)
上條 竜太郎 昭和大学, 歯学部, 教授 (70233939)
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研究概要 |
計画研究の最終年度である本年度は,まず硬組織形成細胞に及ぼすひずみの方向,量およびパターンの効果について,分化に関連する遺伝子の解析を行った.ひずみ負荷培養は前年度までに作製した培養システムを継続して使用した.その結果,軟骨細胞前駆細胞株ATDC5は連続的なひずみを与えるよりも休止時間を設けることよって分化促進傾向を示し,軟骨細胞の分化がひずみのパターンによっても影響を受けることが示された.骨再生材料OCPは骨芽細胞および骨髄由来細胞の共存培養系において破骨細胞形成を誘導する能力を有することが明らかとなった.この結果,平成20年度までに報告した,メカニカルストレスによるOCP/Collagen複合体の材料吸収促進は,OCP固有の破骨細胞誘導能に起因した性質であり,形態形成と局所環境因子の関連性が解明された.一方,領域班内の連携として骨の石灰化(骨再生)過程の把握のため局所pHを計測し得るゲルシートを作成した.pH指示薬を固定化したゲルシートは優れた空間分解能(2um)と長時間(連続12時間)の計測が可能であることがわかった.pHゲルシートを用いたOCP顆粒界面のpH計測を行った結果,石灰化に関連するOCP-HA転換において,既に報告されているPO_4^<3->の放出とpHの低下の関連性を初めて明らかにすることに成功した.以上の結果から,硬組織の形態形成に及ぼすメカニカルストレスやpHといった局所環境をマルチスケールの観点で関連づけることが可能となった.
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