研究概要 |
本領域では,細胞の素機能及び統合機能の制御方式を理解することを目指したシステム細胞工学に関する研究を行った.「システム細胞工学」とは,細胞の構成要素の機能及び構成要素集団の統合機能を詳細に調べ,物理化学的環境及び細胞間相互作用を含む生物学的環境に応答したこれらの機能の制御機構を理解することを目的とする学問である.特に,ナノ・マイクロからマクロスケールにわたる広域で微細な作業を行うための工学的操作技術(マルチスケール操作)に着目し,これをベースとして工学,生命科学,医学を融合し,学際的な研究を推進した.このような研究体制において,さまざまな工学的局所制御手法を用いて,細胞内における遺伝子の効率的発現制御,細胞群における遺伝子の発現計測と制御のための局所制御,組織内における細胞形態・分化誘導発のための機能制御に関する研究を行い,システム細胞工学の基盤を形成した. 従来の観察・計測のみを特徴としたアプローチとは異なり,マルチスケール操作を活用し,細胞内の遺伝子操作,導入,タンパク質合成から細胞群における細胞操作,分離,固定等の局所環境制御,組織内の力学的刺激,化学的刺激を能動的に行うことで,相互作用を引き起こし,それぞれの分野における仕組みの解明と機能制御に役立てるものとした.各チーム,各研究班の相互作用により,工学的・医用工学革新技術により生命科学における新たな知見を得て,新しい"システム細胞工学"分野を確立することを目的とし,工学的革新技術をもとに生命科学における新たな知見を得て医用工学を発展させ,社会貢献することを目指して研究を行った. 過去5年間の研究成果をまとめ報告・公表を,総括班が中心となり,公開シンポジウム、成果報告書(冊子・DVD)として行った.
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