本研究は、(i)多種多様なナノ・マイクロパーティクル、(ii)SPMやレーザートラップなどによる1分子操作技術、(iii)AFMや蛍光顕微鏡などの一分子観察技術、を組み合わせ、"高次機能性複合体"を細胞内において再構成し、それを定量的・時間的・空間的に厳密にコントロールしながら、その形成機構や細胞内での動態および物理化学的性質を測定することを目的とする。これまでに以下の成果が得られている。a)直径0.2-1.0マイクロメートルの蛍光ビーズをマイクロインジェクションによりHeLa細胞内に導入する技術の確立。インジェクションするビーズの濃度をコントロールすることにより、任意の数(1個〜10個程度)のビーズを細胞内に導入可能となった。また、パーティクルを導入した細胞を経時観察し、パーティクルの導入による細胞のダメージがないことを確認した。b)細胞内に導入したパーティクルをレーザーピンセットにより補足し、細胞内において個々のパーティクルを操作する技術を確立した。c)任意のタンパク質やクロマチンをパーティクルに結合させる技術を確立した。これには、大腸菌で大量発現し、アフィニティー精製したタンパク質をもちいた。これにより、任意のタンパク質をラテックスビーズや蛍光ビーズに共有結合させることが可能となった。現在、細胞内に導入したパーティクルを、レーザーピンセットにより、任意の場所に移動させる技術に取り組んでいる、特に、核内に導入する方法を検討中である。
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