研究課題
本年度は、マルチスケール操作によるEBV人工染色体の複製、維持、細胞内移送との機構をさらに解析を進めるとともに、EBV人工染色体を用いた、免疫療法を目的とした生体内遺伝子機能解析の一環として、IL-27やIL-28の生体内直接遺伝子導入を行った。その結果、これまで見出されていなかったIL-27の新規機能の解明や、IL-28の免疫応答誘導能の解明等の結果を得た。一方で、EBV人工染色体によるプライマリー細胞への高効率遺伝的改変技術を応用し、ヒトプライマリー細胞のリプログラミングに成功した。得られた細胞は、ALP陽性、幹細胞マーカー陽性で、in vitroで心筋細胞、神経細胞等への分化能を有し、またSCIDマウスに移植すると三胚葉由来のテラトーマを形成するなど、典型的な多能性幹細胞の性質をすべて有していたが、重要なこととして、導入したEBV人工染色体を完全に脱落させることに成功しており、また染色体もインタクトであると思われた。さらにこの多能性幹細胞に、EBV人工染色体を用いて種々の遺伝子を導入することにより、これまで幹細胞からの分化誘導が確率していない細胞系列への、新たな分化誘導の系を構築しつつある。このEBV人工染色体によるヒトプライマリー細胞からのリプログラミング技術、およびは、再生医療への応用のみならず、さまざまなマルチスケール操作の対象としても、有用であろうと考えられる。以上の結果は、細胞、臓器の自在な遺伝改変技術の確立、生体機能の構築・解析等につながり、システム細胞工学に大きく貢献できると期待される。
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J.Control.Release 140(3)
ページ: 312-317
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