研究課題/領域番号 |
17076014
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
大和 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (40267117)
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研究分担者 |
飛田 聡 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (30361778)
秋山 義勝 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20349640)
小林 純 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20385404)
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キーワード | 再生医学 / 組織・細胞 / 生体材料 |
研究概要 |
本研究では、従来の電子線重合に比し微細なパターン化が可能と考えられる光開始イニファータ重合法に着目した。イニファータ重合法は、光照射部位の制御により特定部位にのみポリマーを固定化できる。そこで、イニファータ重合開始剤を固定化したガラス表面上IPAAmのイニファータ重合を行い、PIPAAm修飾表面の特性を解析するとともに細胞の接着・脱着挙動を観察した。1)PIPAAm表面特性の解析 XPSによる各表面の元素分析から、BDC表面ではN/C=0.024だったのに対しIP7.4ではN/C=0.14となり、PIPAAmの化学構造から算出されるN/C=0.17に近い値を示した。このことから、ガラス表面にPIPAAmが固定化されたことが示された。静的接触角測定により、PIPAAm固定化表面は、高温側で大きな接触角を示し、低温側では比較的小さな接触角を示したことから表面に温度応答性をもっことが示された。次に、PIPAAm固定化表面の一部にArFエキシマレーザーを照射しポリマー層を蒸散させた部位をAFM観察しポリマー層厚みを見積もった。あわせてATR/FT-IR測定からPIPAAmのグラフト量を決定した。仕込みモノマー濃度の上昇とともに、PIPAAm層厚み、グラフト量ともに増加することが明らかとなった。2)PIPAAm修飾表面への細胞の接着挙動 種々表面に1.0×10^4cells/cm^2でECを播種し、経時的に細胞接着挙動を観察するとともに、24h後に20℃での脱着挙動を2h解析した。TCPS、BDC、IP7.4上では良好に細胞が接着したのに対し、IP20、IP35では細胞接着が少なかった。一方、IP7.4では20℃で2h経過後も3割程度の細胞しか剥離しなかったのに対し、IP20、IP35では30分後すべての細胞が剥離した。この結果は、PIPAAmのグラフト量の違いによるものと考えられる^<3)>。これらの結果から、IP20、IP35は、温度変化にともなう細胞の接着・脱着を制御できる表面であると考察した。そこで、細胞接着の多かったIP20表面上でECをコンフレントになるまで培養後(3〜4日)、1h低温処理を行ったところ、増殖した細胞をシート状組織として回収できた。次年度では、多孔性金属マスクを用い温度応答性パターン化表面を調製し、この表面上での温度変化に応答した細胞の接着挙動ついて解析を行う。
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