研究課題
ゲノム全遺伝子の発現の包括制御は、転写装置の遺伝子間での配分制御で行われる。RNAポリメラーゼは転写調節因子との会合で転写対象の遺伝子選択性が変化し、その結果、転写装置のゲノム遺伝子間での分配が変動する。転写装置の特異性変化が、環境応答のゲノム転写スペクトラム変換制御の分子的基盤と推測したモデルを実証することを目標に研究を実施した。自然環境では、単細胞の大腸菌も社会構造を形成し、細胞ごとに役割分担があると推定されているので、細菌細胞分画技術や超微細工学技術などを利用して、大腸菌均質細胞集団更には単一細胞を対象に、ゲノム全遺伝子の発現の動態を定量的に計測する技術を開発し,研究を推進した。1)大腸菌ゲノム全遺伝子の環境応答発現の計測トランスクリプトーム及びプロテオーム分析に加えて、大腸菌ゲノムの全プロモーターを単離し、二種類のレポーター蛍光発色蛋白発現ベクターに挿入した「大腸菌プロモーターコレクション」を構築し、全遺伝子、全プロモーターの環境応答の系統的解析を実施した。2)大腸菌全転写因子の支配下遺伝子の同定と制御機能解析大腸菌転写因子280種を純化精製した。純化転写因子を利用して転写因子支配下遺伝子群を同定するGENOMIC SELEX法を開発し、大腸菌転写因子150種に関して支配下遺伝子群を網羅的に同定し、個別に転写調節を解析した。3)大腸菌均質細胞集団および単一細胞観測技術の開発と利用パーコール密度勾配遠心を利用した大腸菌均質細胞集団単離法の確立し、細胞集団間での転写パターンの差を解析した。一方,細胞培養局所ゲル化法を利用し、単一細胞での遺伝情報転写の連続長時間観測技術システムを確立し、単一細胞のプロモーター活性計測に成功した。大腸菌単一細胞の局所環境の変動に伴うゲノム転写応答の包括制御機構の系統的解析を通じて、新たに「細胞個性学」の確立を目指す基盤が確立した。
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