研究課題
植物は土壌中から必須栄養素である鉄や亜鉛などの金属元素を、トランスポーターによって細胞内に吸収し、必要とされる部位に送り込む。金属元素は生体機能の維持に必須であると同時に、過剰に存在すると障害を生じるため、植物はトランスポーターを制御することにより金属元素の吸収を厳密に制御している。我々はイネの「金属・キレート」複合体トランスポーターをコードすると想定される18個の遺伝子を単離した。これらの遺伝子についてその機能を解析し、植物における必須金属栄養素の吸収、移行、分配の分子機構において「金属・キレート」複合体トランスポーターの果たす役割を明らかにすることを目的として研究を進めた。「金属・ニコチアナミン」トランスポーターであるOsYSL2の過剰発現イネとRNAi発現抑制イネを作出し、OsYSL2が種子中への鉄の移行と蓄積に重要な機能を果たすトランスポーターであることを証明した。OsYSL15はイネが土壌中から「鉄・デオキシムギネ酸」を吸収するためのトランスポーターであることを明らかにした。またイネは2価鉄トランスポーターにより、2価鉄も吸収することを明らかにした。アルカリ条件でも高い活性を保つように完全人工合成した改変型3価鉄キレート還元酵素遺伝子を、2価鉄トランスポーターのプロモーターに繋いでイネに導入し、3価鉄還元活性と2価鉄トランスポーターの発現を同調させた形質転換イネは、石灰質アルカリ土壌における鉄欠乏に顕著な耐性を示し、収量は野生型の約7.9倍となった。上記の成果は、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(2007)に掲載され、コメンタリー欄でも重要なトピックとして紹介され、一般の新聞各紙にも報道され反響を呼んだ。中間評価でも「特筆すべき成果」として高く評価されている。この論文以外にも原著論文として合計23報を発表した。
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