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2005 年度 実績報告書

膜電位形成・環境に関与する植物のK+およびNa+輸送体の解析

研究課題

研究課題/領域番号 17078005
研究機関名古屋大学

研究代表者

魚住 信之  名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (40223515)

キーワードAtHKT1 / 塩ストレス / 浸透圧 / Ktr / 輸送体 / 道管 / シロイヌナズナ / 原形質膜
研究概要

シロイヌナズナのAtHKT1は高塩培地における植物の生育に寄与していることが知られている。その機構を探る目的で、大腸菌・昆虫細胞にシロイヌナズナAtHKT1の部分ペプチド抗原-GST融合蛋白質を作成してウエスタンブロテイング法により、AtHKT1抗体の特異性が高いことを確認した。次にAtHKT1の組織別発現と細胞内局在性を免疫電子顕微鏡観察において調べた。野生株の道管に隣接する細胞である木部柔組織の細胞の原形質膜にAtHKT1が局在していることが明らかとなった。またathktl変異株の道管と師管内イオン濃度を測定したところ、塩ストレスを負荷した生育条件におけるNa^+/K^+濃度の比は、道管で高く篩管で低かった。高浸透圧負荷におけるシロイヌナズナ培養細胞のAtHKT1の転写物の量を調べた。Na, K添加により約50mM辺りまでは濃度依存的にAtHKT1の転写量は増加したが、100mM程度では低下した。また、ソルビトールやマンニトールでも同様の傾向が観察されたことから、AtHKT1の発現はある程度の高浸透圧で最も増加することが明らかとなった。以上の結果から、AtHKT1は植物へのNa取り込み口として機能して、塩害を防ぐために重要な役割をもち、また高浸透圧に対しても働くことが示された。
AtHKT1のラン藻におけるオルソログ蛋白質であるKtr系は、高浸透圧ショックの適応に関与するK^+取込み輸送体である。さらに、Ktr系以外の輸送系であるKdp系も浸透圧調節に関与しているのかを、変異株を用いて検証した。その結果、Kdpは高浸透圧への適応に必須ではないことが明らかとなった。この結果は、Ktr系が主なK輸送系として機能していることを示している。
以上の結果は、HKT/Ktr系輸送系が浸透圧調節に重要な役割を担っていることを示している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Ktr-mediated potassium transport, a major pathway for potassium uptake, is coupled to a proton gradient across the membrane in the Synechocystis sp. PCC68032006

    • 著者名/発表者名
      Matsuda et al.
    • 雑誌名

      Biosci.Biotech.Biochem. 70

      ページ: 273-275

  • [雑誌論文] Further application of a two-step heparin affinity chromatography method using divalent cations as eluents : Purification and identification of membrane-bound heparin binding proteins from the mitochondrial fraction of HL-60 cells.2005

    • 著者名/発表者名
      Iida et al.
    • 雑誌名

      J.Chromatography B 823

      ページ: 209-212

  • [雑誌論文] Enhanced salt tolerance mediated by AtHKT1 transporter-induced Na^+ unloading from xylem vessels to xylem parenchyma cells2005

    • 著者名/発表者名
      Sunarpi et al.
    • 雑誌名

      Plant J 44

      ページ: 928-938

  • [雑誌論文] All four putative selectivity filter glycine residues in KtrB are essential for high affinity and selective K^+ uptake by the KtrAB system from Vibrio alginolyticus.2005

    • 著者名/発表者名
      Tholema et al.
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem. 280

      ページ: 41146-41154

  • [図書] チャネルタンパク質の膜への組込み様式(イオンチャネル・受容体の構造機能連関研究の新たな潮流 久保義弘監修)細胞工学2006

    • 著者名/発表者名
      魚住信之
    • 総ページ数
      264-268
    • 出版者
      秀潤社
  • [図書] 膜電位依存性Kチャネル(イオンチャネル 最前線update 倉智嘉久監修)別冊・医学のあゆみ2005

    • 著者名/発表者名
      魚住信之
    • 総ページ数
      76-81
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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