シロイヌナズナおよび小麦のNa/KトランスポーターであるHKT系トランスポーターとそのホモログとなるラン藻Ktr系トランスポーターは、チャネルのような速度の速いイオン輸送能力はないと考えられている。第8番目の膜貫通領域にある正電荷アミノ酸はHKT/Ktr系には存在するがチャネルには存在しない。本正電荷は輸送機能に重要であることを電気生理学的測定等で明らかにした。さらに、立体構造予測モデルから、この正電荷は負電荷アミノ酸と塩橋を形成すると推定した。この塩橋がイオン透過孔の開閉を制限するために、チャネルよりも開口率が小さいことが予想された。 たばこからKチャネル遺伝子を単離して発現と機能の解析を行った。3種類のプロモーターがBY2細胞から単離され、そのうち2つのプロモーターは高浸透圧で活性化されることが分かった。Kチャネル遺伝子の機能を酵母宿主とするパッチクラシプ法により測定した。K選択性が高く細胞質内の酸性化で(pH5.5)活性化されることが分かった。チャネルのC末端領域のCa結合領域の寄与を調べたところ、Caで2倍程度活性化することが分かった。スペルミジンとスペルミンでKチャネル電流抑制を受けた。たばこではスペルミジンの濃度がスペルミンやプトレッシンよりも高いことが分かり制御を受けている可能性が示された。 植物と微生物に存在するKトランスポーターの中で浸透圧調節に関与する輸送系を同定した。マイク口流路系を構築して、細胞毒性の小さい樹脂を用いることによって、細胞の活性に影響を与えることのない。装置の構築が可能となった。2種類のKトランスポーターの浸透圧の変化に対する細胞の膨張と収縮への寄与を観察して、両者ともにK輸送が浸透圧適応に関与していることが示された。
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