研究課題
植物は、一対の孔辺細胞からなる気孔の開閉によってガス交換とともに水の蒸散の調節している。この水の蒸散は、根からの養分吸収や植物の耐乾燥性に深く関与している。特に、植物ホルモンのアブシジン酸によって誘導される気孔閉口は、乾燥ストレスに対する重要な応答である。本研究では、シロイヌナズナ孔辺細胞におけるアラシジン酸(ABA)シグナル伝達経路の解明を、ジャスモン酸メチル(MeJA)シグナル伝達経路と比較しながら、細胞生物学、分子遺伝学、生理学等の手法を用いて行なっている。主な成果として、1) ABAシグナル伝達経路におけるカルシウム依存性シグナル伝達経路におけるカルシウム依存性タンパク質リン酸化酵素の役割を調べ、ABAシグナル伝達経路とMeJAシグナル伝達経路とにおいて、カルシウム依存性タンパク質リン酸化酵素の役割の違いを明らかにした。2) 液胞膜イオンチャネル(TPC1)の気孔運動への影響を調べ、TPC1がABAやMeJAが誘導する気孔閉口には関与せず、カルシウムが誘導する気孔閉口にのみ関与することを明らかにした。3) ABAやカルシウムが誘導する気孔閉口には、ABAやカルシウムによるプライミングの必要であることを明らかにした。4) ABAシグナル伝達経路において、MAPキナーゼが関与していることを明らかにした。5) 根からの水分吸収におけるアププラスティックフローの役割とその制御に関する知見を得た。以上のように、本申請研究によって、孔辺細胞のABAシグナル伝達ならびにMeJAシグナル伝達に関する新規な知見を得た。
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