コムギALMT1のアルミニウム(A1)活性化機構 ALMT1輸送体の特徴となるA1活性化機構の解明のため、コムギALMT1の細胞外に配向すると予想されるC-末端領域の、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、15箇所を選抜し、site-directed mutagenesis法により各々アスパラギンとグルタミンに変異させたALMT1遺伝子を作製した。これらをアフリカツメガエル卵母細胞に発現させ、電気生理学的に解析を行った結果、3箇所のアミノ酸変異により、A1で活性化されるリンゴ酸放出に伴う内向き電流が完全に抑制された。さらに、C末端領域を段階的に欠失したクローンを作製し、解析を行ったところ、これらの欠失変異ALMT1では内向き電流がみられなかった。したがって、C末端領域では、上記の特異的な酸性アミノ酸だけでは無く、他の部位もA1活性化に関与すると考えられる。以上の結果から、ALMT1輸送体のA活性化には、C末端が必要であり、特に3つの酸性アミノ酸が、A1との結合を介して活性化に関与する可能性が高いと考えている。 気孔閉口に関与するALMT輸送体 コムギ以外のALMT相同遺伝子について解析を行った。13あるシロイヌナズナのAtALMT遺伝子の中で、AtALMT12が、気孔を構成する孔辺細胞で特異的に発現する無機アニオン輸送体をコードしており、気孔閉口に関与することを明らかにした。植物の気孔は、二酸化炭素の吸収や水の蒸散が制御し、いくつかのイオンチャネルによって調節されている。AtALMT12は既知のS-およびR-タイプアニオンチャネルではないと考えられ、新しい機構により気孔閉口を調節していると考えられる。このことから、植物に特異的なALMTタンパク質ファミリーには、関与する生理的役割に多様性があることが示された。
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