研究課題
1. カボチャからのケイ酸吸収関連遺伝子の単離と機能解析ウリ科のカボチャは中程度のケイ素集積性を示すが、その吸収機構についてはまだ明らかにされていない。本研究ではブルームきゅうりとブルームレスきゅうりを作るための台木として使われているカボチャ2品種、新土佐2号(ST)とスーパー雲竜(SU)を用いて、ケイ酸吸収の生理学的解析と吸収関連遺伝子の同定を行った。ケイ酸吸収量を経時的に調べた結果、3時間でSTの吸収量はSUを大きく上回った。ケイ酸吸収に関わる遺伝子として、イネのケイ酸吸収関連遺伝子Lsilのホモログを2品種のカボチャから単離した。推定アミノ酸配列において品種間で2つの残基の違いが見られた。アフリカツメガエルを用いたケイ酸輸送活性の測定によりST由来のLsi1は活性が認められたが、SU由来のものは活性が認められなかった。更なる解析から、242番目のアミノ酸置換がケイ酸輸送活性の有無に影響を与えていることが分かった。2. イネ生殖成長期におけるLsi6の役割解析Lsi6は内向きケイ酸トランスポーターLsi1の相同タンパク質で、Lsi1と同様ケイ酸の内向き輸送活性を持つ。今年度はLsi6の生殖生長期のケイ酸分配における役割を解析した。Lsi6は出穂期以降の上位の節で著しく発現が増大し、特に大維管束の周縁部の木部柔組織において導管に面した極性局在がみられた。Lsi6のT-DNA挿入変異株では穂(籾、穂軸、穂首)のケイ素蓄積量が約1/3に低下し、逆に止め葉の葉身には2倍の蓄積が見られた。また切除した未熟穂について水分の蒸散量を測定したところ、T-DNA挿入株では蒸散速度が有意に増大し、「白穂」が容易に再現された。これらの結果から、蒸散流に伴って根から地上部へと吸い上げられたケイ酸は、節において穂の維管束へと積み替えられ、その過程のうちLsi6は下位の導管からのケイ酸の積み降ろしを担うと考えられた。
すべて 2008
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