研究課題/領域番号 |
17079005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
倉智 嘉久 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30142011)
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研究分担者 |
稲野辺 厚 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00270851)
村上 慎吾 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40437314)
古谷 和春 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40452437)
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キーワード | RGS蛋白質 / G蛋白質 / シミュレーション / カルシウムシグナル / イオンチャネル |
研究概要 |
RGS(Regulators of G protein signaling)蛋白質は3量体G蛋白質αサブユニットの内因性GTP水解活性を促進し、G蛋白質サイクルを調節する因子である。本研究ではG蛋白質シグナルの生理的調節機構を統合的に解明することを目的とし、RGS蛋白質の作用・その調節機構を解析し、さらにG蛋白質シグナル分子の機能調節機構を明らかにすることを目的としている。本年度明らかになった点を以下に示す。 1. RGS蛋白質-CaM複合体の立体構造 : RGS蛋白質はリン脂質PIP_3と結合することで、RGS活性が抑制されており、細胞外から流入したCa^<2+>とCaMとの複合体がRGS蛋白質と結合し、RGS活性を発現する。この分子機構を解析するために複合体の蛋白質結晶を作製した。得られた結晶からシンクロトロン放射光を用いて、2.OA程度の回折点が観察された。しかし、これまで50個を越える結晶を検討したが、全ての結晶は複数の結晶が層状に集まったもので、きれいな対象性を示す回折像が得られなかった。そのため、現時点までに位相情報が入手できず、構造は未決定である。 2.G蛋白質制御内向き整流性K^+(Kir)チャネルKir3.2の立体構造 : G蛋白質制御Kirチャネルの活性化機構の分子基盤を明らかにするために、活性化因子Na^+、リン脂質PIP_2非存在下において、Kir3.2の細胞質領域の立体構造を取得した。Na^+存在下における同一蛋白質の構造と比較検討すると、構造変化が細胞膜直下で観察され、CD loopとN末のβストランド間のイオン結合がその主因であることが推定された。機能解析から、N末のβストランドの消失、産生がKirチャネルのclosed state間の遷移の過程で存在すること、Kir3.2では、その構造変化に伴ってCD loopの構造が変化し、PIP_2に対する親和性が制御されることが明らかとなった。以上のことは、2つの領域の相互作用がG蛋白質制御Kirチャネルのチャネル開口を阻害しており、チャネル活性化因子はこの分子内の相互作用を切ることによってチャネルを活性化させていることが明らかとなった。
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